リアルの追求映画監督小澤啓一
10/01/2020 13:03:25, 本, 小澤啓一
によって 小澤啓一
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内容紹介 1960年代末、時代と熱く並走した伝説の映画『無頼』シリーズが今、甦る! 「太陽にほえろ!」「大都会」「西部警察」なども演出した日活ニューアクションの旗手・映画監督小澤啓一初のインタビュー集 石原裕次郎、渡哲也、小林旭、宍戸錠、二谷英明、川地民夫、高橋英樹、 松原智恵子、芦川いづみ、梶芽衣子、丘みつ子ら日活スターと、 内田良平、南原宏治、藤竜也、青木義朗、深江章喜、今井健二、郷鍈治、沖雅也、 高品格、佐藤允、小池朝雄、榎木兵衛など個性派たちのスチール&スナップ大量収録!! 詳細な映画解説付きフィルモグラフィー付き 内容(「BOOK」データベースより) 石原裕次郎、渡哲也、小林旭、宍戸錠、二谷英明、川地民夫、高橋英樹、松原智恵子、芦川いづみ、梶芽衣子、丘みつ子ら日活スターと、内田良平、南原宏治、藤竜也、青木義朗、深江章喜、今井健二、沖雅也、高品格、佐藤允、小池朝雄、榎木兵衛など個性派たちのスチール&スナップ大量収録!! 商品の説明をすべて表示する
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渡哲也主演『無頼』シリーズ、TVドラマ『太陽にほえろ!』『大都会』『西部警察』を手掛けてきた日活ニューアクションの旗手として活躍した映画監督・小澤啓一!小澤啓一というと誰もが知るような大ヒット作、大きな映画賞を受賞、映画史に残るような作品を残した……というような映画監督ではなく、正直、世間ではほとんど知られずに(メジャーではない)映画やTVドラマを手掛けるいわゆる「職人監督」だ。映画好きである私でも小澤啓一と言われればなんとなく名前は知っており(どちらかといえば長谷部安春『あぶない刑事』の方がメジャーかな?)、先の作品の演出で目にするほどで取り立てクローズアップされるような監督ではなかった。今回、何故か小澤啓一の本が上梓されるところがワイズ出版のシブイところだが、このたび興味を持ったのは子どもの頃、再放送で見ていた好きなドラマを作っていた監督というのが大きい。 日活時代の挿話では、石原裕次郎、小林旭、宍戸錠、二谷英明、後輩には渡哲也、藤竜也、高橋英樹、原田芳雄といった大スターたちの錚々たる顔ぶれや脇役でも川地民夫、内田良平、青木義朗、今井健二といった名パイプレイヤーたちが名を連ねるなどまさに1950~60年代の日活は日本映画界においても俳優たちの人材の宝庫だった事がわかる。小澤はデビューまもない渡哲也の無頼シリーズ『大幹部無頼』〈1968〉から監督デビューし、若かりし頃の渡を見ているので当時の渡のスター性(存在感)が伝わってくる。渡哲也といえば、世代的には『大都会』『西部警察』の刑事役(角刈りにサングラスをトレードマークにショットガンをぶっ放す)のイメージが強いが、本当は私たちが思っているよりももっともっと凄くて、本来なら映画俳優として世界を舞台に活躍しても不思議ではないほどスゴイ俳優なのだ(今の20代、30代の俳優と比較してもあの当時の渡哲也の餓えた狼のようなギラギラしたような表層には勝てないだろう)。映画産業が衰退し、日活もロマンポルノに転換を余儀なくされるのだが、小澤にとっても会社の方針とはいえ大変だっただろう。この時代に助監督時代の長谷川和彦『青春の殺人者』『太陽を盗んだ男』と出会っているのも貴重だ。ここからなかなか映画を撮れる機会がなく、ポルノやテレビドラマ、時代劇を手がけるようになるのだが先行き不安であったと思う(この時代は映画がTVよりもランクが上で映画を作っていた人がテレビを撮るようになるという事は映画監督として降格(烙印を押される)のイメージがあった)。それでも小澤にとってはTVに活路を見出し、後にはVシネマにも活躍の場を移して息の長い監督になったワケだから分からないものだ。TVドラマでも 『太陽にほえろ!』でのマカロニ(萩原健一)、テキサス(勝野洋)、スコッチ(沖雅也)を手がけたエピソードは見てみたいし、『大都会 闘いの日々』の倉本聰脚本とか今にはないシブさがある。『大都会』シリーズで医師である石原裕次郎の下で働く新米看護師役・舛田紀子が舛田利雄監督の娘であるとは初めて知った(ちなみに『あぶない刑事』でも婦警の瞳役(長谷部香苗)が長谷部安春監督の娘だった)。『大都会』『大追跡』『探偵物語』『西部警察』といった往年の名作ドラマも多く手掛けており、今ではできなくなったスケールの大きな作品を撮る事が出来た小澤監督はある意味、幸せだろう。『西部警察』のエピソードでもスタントがスケールアップしてかなり危険だったのがわかる。今ではありえないヘリを駅前に着地させたり撮影のために使用許可を下ろせたというのもスゴイ。番頭のコマサ(小林専務:石原プロの裏方として支えた人物)がお金の管理や製作方針が優秀だったから石原プロが独立プロとしてもやっていけたんだと思う。西部警察の重要な回を任され、勝新太郎がゲストの回「燃える勇者たち」、伝説の最終回「大門死す!男達よ永遠に…」も小澤が演出していた事や大門(渡哲也)の亡骸に語り掛ける裕次郎のセリフ(伝説のラストシーン)にまつわる挿話も知る事ができてよかった。Vシネマでも哀川翔主演の人気シリーズ『修羅がゆく』の監督を務め、製作費六千万円とまだまだお金がかけれた良き時代だった(今では製作費一千万円で二本撮りが当たり前だからいかに現状が困窮しているのかがわかる)。『修羅のみち』もキャストが豪華で主演の哀川翔と敵役の松方弘樹がお互い何度もピンチになりながらも形勢逆転を繰り返す様が異常に面白かった。他にも時代劇スター・萬屋錦之介の最後のテレビドラマ『文吾捕物絵図張り込み』〈1996〉やジャンヌ・ダルクの日本版として作った後藤久美子主演『鶴姫伝奇興亡瀬戸内水車』〈1993〉、高田純次主演で大ヒットドラマのその後を描いた『積木くずし崩壊』〈1994〉、『森村誠一サスペンス一文字タイトル』シリーズ〈2001~2008〉など本書で紹介されているのを読んで見たくなった。小澤啓一監督は名声は残さなくとも数々の名作映画やドラマに携わり、他の監督や演出家たちが経験できることのできない現場に携わることができて長く現役でいられた事は本当に幸せだったと思う。今では伝説となったスターたちと仕事をされた事は小澤監督にとっても財産だっただろう。機会があれば上記に挙げた作品を見てみたい。追伸…同じく同時代に活躍された長谷部安春監督の本も出版してほしかった。
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