感動をつくれますか？ (角川oneテーマ21)

自分の知らないお仕事の中に入っていくお話というのは好きで、この本もその一環。久石譲さんというと、ジブリの音楽の人、というイメージだが、おそらく日本の映画音楽屋さんとしては一番有名な人。音楽は語るほどの知識をもたず、芸術としてはわかっていない客だと思うのだが、商業音楽というのは「売れたものが勝ち」と思っていて、そうであれば一番発言に重みのある人。書いていることは、かなり共感できた。芸術であろうと仕事でやっていることについてのプロ論とか、うまくいく時の感覚とか。なのだけれども、上手に本を書く人ではやはりなく、ところどころ良いことは書くが、言葉で他人の人生を変える人では、やはり無いのだろうと思う。言葉として印象に残るのは、引用される映画監督などのものだった。これはこれで十分な本だと思うが、ここから改めて何かを得るということは、おじさんには難しい。