新しい世界史へ――地球市民のための構想 (岩波新書)
06/12/2020 15:18:36, 本, 羽田 正
によって 羽田 正
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内容紹介 グローバル化が進み、ますます一体となりつつある現代世界。従来のヨーロッパを中心とした世界史像は、もはや刷新されるべき時を迎えている。いまこの時代にふさわしい歴史叙述とはいかなるものか。歴史認識のあり方、語り方を問い直し、「世界はひとつ」をメッセージに、地球市民のための世界史を構想する。 内容(「BOOK」データベースより) グローバル化が進み、ますます一体となる現代世界。その現実を前に、従来のヨーロッパを中心とした世界史像は、刷新されるべき時を迎えている。いまこの時代にふさわしい歴史叙述とはどのようなものか。歴史認識のあり方、語り方を問い直し、「世界はひとつ」という視点から、地球市民のための世界史を構想する。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 羽田/正 1953年生まれ。京都大学文学部卒業、京都橘女子大学文学部助教授、ケンブリッジ大学客員研究員、東京大学東洋文化研究所助教授などを経て、東京大学東洋文化研究所所長・教授。専門、比較歴史学、世界史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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著者は近世イスラームの政治制度から学究生活をスタートしイスラーム史の権威者であるが、裏扉の著者紹介によると、現在の専門は「比較歴史学、世界史」とある。本書は現在の世界史のあり方に疑問を呈し、地球市民として共有すべき新しい世界史を提案する骨太なマニュフェストである。内容は、現在の世界史の教科書から始まる。日本の高校世界史の教科書を、戦後の学習指導要領の改訂とともに紹介しているが、評者が高校生当時の教科書を思い出しなつかしかった。また、世界の歴史教科書についてはフランスと中国の教科書を例としてその内容と目次を示しているが、日本も含めそれぞれの違いは大きく、お互いの対話は成り難い。続いて現在の世界史の問題点として、1.ヨーロッパ中心史観から自由でないこと、'2.自と他の区別や違いを強調していること、3.それぞれの国でしか通用しない世界史であること、を指摘する。そこで、著者は「世界はひとつ」という視点から、地球市民のための新しい世界史を構想する。「新しい世界史」のポイントは2つあって、1つはヨーロッパのみならず全ての中心史観からの脱却であり、2つめは共通性に着目し関連性・相関性を重視することである。最終章では、新しい世界史の具体化に向けて、中間報告ではあるが今後の議論の活性化に資すればと良いと学者らしからぬ大胆な提言を行っている。新しい世界史のための方法として、1.世界の見取り図、2.時系列史にこだわらない、3.横に繋ぐ歴史、を挙げている。評者には、1のどこをも中心としない世界の見取り図の描き方や'3の横に繋がった地球市民を意識することは、斬新な発想で興味深く思った。ただ'2の時系列史にこだわらないについては、歴史の発展や法則とどう関連づけるのかと疑問が残った。本書は現実の領土紛争や歴史認識論争等に直接の解決策を示すものではないが、新しい世界史の見方・考え方として面白く読んだ。
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